「わからない」と思うための対話 第12回 感想

 

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今回のテーマはこれ!

 

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今日は行動とモチベーションのサポートということで、実際に前回の内容に沿ってリソースを探すっていうことをやった後に、相手の行動プランを聞き出してそれを実際に行動につなげていくとかモチベーションをサポートしていくとか、そういうことをやっていこうと思います。

久保君もお待ちかね、「実行に移させる」という話をしましょう。

 

久保)12回目にしてやっとですね(笑)

 

そうなんだよ。人に行動させるというのはよっぽどその前に十分しっかり上手に話を聞いて、関係を作って影響力も確保して相手の問題のポイントも把握して、で、「このタイミングでこの攻め所でこうやって言ったら動くんじゃないか」ということを、それも質問の形で間接的に動かすんだから。このぐらい用意周到にやるわけですよ。

アドバイスっていうのは安直なんだよ。すごく安直なアドバイスで動けばいいんだけど、動かないケースが多いんだよ、実際。だから安直なアドバイスで動かないケースのためにこういうやり方があるわけだ。

 

【人に行動させるというのはよっぽどその前に十分しっかり上手に話を聞いて、関係を作って影響力も確保して相手の問題のポイントも把握して、で、「このタイミングでこの攻め所でこうやって言ったら動くんじゃないか」ということを、それも質問の形で間接的に動かす】

 

か……すごい。これまでのわからないと思うための対話の集大成みたいなセリフだ。振り返ればこんなに色々なことを学んできたんだなと驚いてしまった。

 

 

 

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これはフランス料理のフルコースみたいなもんです。だから全部ビタッと1から8までやれよっていう話じゃないです。場合によっては一つや二つ省いたり一個や二個だけ使ったりというのもよくやります。

 

 

 

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実は僕は「この問いを立てる」っていう行為が個人的にも大好きで、すごい役に立つんですよ。なんでかって言うと、人間の頭っていうのは問いを立てるとその問いの答えを出そうと自動的に動いてくれるから。

例えば初詣ってあるでしょ? 初詣の時になんかこうお祈りするじゃん。

あの行為に僕は意味があると思っていて、神様がいなくてもそうやって年の初めに今年一年の願いとしてバズりたいというのを掲げて無意識がどうやったらバズるのかっていうのをずっと探してくれるんです。

頭でウンウンと考えるのは意識的にものを考えている時なんだけど、無意識っていうのはぼんやりしているときに実は気が付くとフラフラフラッとそれについて考えてくれたりする。で、その無意識の思考の方がいい仕事をしたりするんだよ。意識で考えたって出てこないからアイデアが湧いてこないわけなので。

 

問いを立てるコツとしては、疑問文を作ること。語尾が「?」になるようにすることですね。

意識で一定時間頑張って考える必要はあります。

意識でしばらくそうやって考えておくと、無意識も「まあこれは重要な問題で解かなきゃいけない問いなんだな」と認識します。

そうするとなんかトイレ入ってる時とかお風呂入ってる時とか気を抜いてぼんやりしてる時に、「これこうした方がいいんじゃないか」とかいう風にアイデアがふっと浮かんできたりするわけです。

 

そうやってちょっと自分が考えることから離れて他の何かに囚われたりぼんやりしたりしてる時にトランス状態や催眠状態に人が入りやすくて、そういう時に無意識が活性化してるんです。意識じゃなくて。

だからいつもの意識的なものの考え方に縛られずに自由な発想が出てきやすいのでアイデアが湧きやすい。

質問する時にも同じで、相手に問いを立ててもらったら相手の無意識が自然とそれに向けて答えを探して動き始めるから、その先のリソースを探すとかそういう時にもそちらの方向に引っ張っていってくれるわけですよ。だからこれは相手の無意識の舵取りをするというか、方向づけをするために僕はよくやったりします。

 

いい話だ。「問いを立てていれば無意識が答えを探してくれる」というのはぼくも非常によく実感している。

高校時代の演劇部で脚本を徹夜で書いていた時どうしても浮かばなかったアイディアが15分仮眠をとった後にパッと思いついたり、「死んだ後何が残るのか」という問いについて毎日考えていたら大学の帰り道で急に答えが分かったり。

 

岡田斗司夫が何かの動画で「ぼくはいつも色々な問いを立てているんだけど、それは無数の鍋を同時にコトコトさせているイメージ」というようなことを言っていたが、ぼくもまさにそんなイメージを持っている。

 

 

 

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問いを立てる時はこのスライドに書いてあることに注意してください。



 

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いきなり初っ端これをやっても出ないわけだよね。ルートが見つからないから悩みになっているのに「どんなルートがありますか?」って言っても出るわけがないじゃん。

だから望みに至るルートを質問するっていうのはこれまでに十分引っ張り起こしてきた後なんだよ。

リソースを探して問いを立てて色々と相手の頭をグルグルと引っ掻き回して変化を起こした後に改めて望みに至るルートを質問すると出てくるかもしれない。

 

「他にもありませんか?」って聞くと案外出てきます。で、2個目3個目に出てきたものの方が有効でパワーがあったりします。1個目2個目はすでに考えていたことがあったりする理由でも3個目ぐらいからネタ切れが起きて、でも聞かれてるからウンウンと考えた時に新しいアイデアが放り出されたりするからです。歯磨き粉のチューブを絞らなきゃいけない。

ここはある意味負荷をかける質問だけど良い負荷なんだよ。感覚としては筋トレで追い込んでる感じね。

 

「他にもありませんか?」と聞くのはなかなか勇気が要るなと思った。ぼくが今まで依頼を受けてきた人には「考えるの面倒だから答え教えてくれ」というスタンスの人が多かったような印象を受けていて、そういう人に「他にもありませんか?」と聞きまくると「自分が思いつかないからってこっちに負荷をかけさせないでよ」と思われそうな気がする。結構な信頼関係がないと難しいと思う。



 

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「ルートも分かりました。あとは実行すればいいんですが、いざ実行するってなるとなんとなく気が重くて手がつかないです」ってことがよくあるわけです、人間は。

なんでかって言うと、その時に考えてたルートっていうのが曖昧で漠然としてると、具体的に何からどう手をつけたらいいかわからないっていうことが起こるからです。

だからとりあえず始めの一歩を聞くわけ。具体的に。「もし一番最初に手をつけるとしたら何をやりますか?」って。

 

レポートとエピソードの話があったでしょ。エピソードっていうのはなるべく具体的に映像化できるレベルでっていうやつ。

それと同じで、もう目の前にありありとそれを実行している自分が思い描けてイメージが持てる物っていうのは行動しやすいんですよ。でもイメージが持てないものっていうのは行動する時に考えなきゃいけないことが色々あるんですよ。

 

なるべくこっちが予め質問して始めの一歩を踏み出させるんです。一歩進めば景色が変わるから二歩目は踏みやすいんだよ。

 

これは物も同じで、物理学やってた人は、動摩擦係数と静摩擦係数って習ったでしょ?

 

止まってる状態で押すときが一番パワーが要って「静摩擦係数」っていうのが大きいんですよ。

で、動き始めると動きやすくなる。「動摩擦係数」って言うんだけど。

人も同じで、あることについて動き始めるとまあ動くんだけど、最初の一歩っていうのは重いので、ちょっと手厚くサポートしてやらんといかんということね。

 

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最初の一歩目なのに、すごくでかくて大変なことを言う人がいるわけです。でもはじめの一歩はなるべく小さめ、控えめがいい。「やります」って言ってやらないと関係が切れちゃうんだよね 。

「やります」って言ったことは「やりました!」「やれました!」っていう話になった方が関係がいいわけですよ。だから実際にやってもらえることを「やります」と言ってもらわないといけない。行動できない人ほど大体欲張るから。

 

これと全く同じことがドラゴン桜にも書かれていた。

 

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引用元↓

 

 

 

さて、なぜ第一歩目が踏み出しにくいのか、脳科学の観点から説明してみよう。

 

人間には「恒常性」という、「常に同じであろうとする性質」がある。例えば暑くなったら汗をかいて体温を下げたり寒い時に震えて体温を上げたりするのは恒常性のおかげだ。

 

これは肉体だけでなく精神にも作用し、例えば「もういやだ!明日会社やめる!」と決意した人でも一晩寝たら結構スッキリして翌朝普通に出勤できるようになるのも恒常性のおかげである。

 

このように恒常性は人間にとって非常に良い作用を果たすが、残念ながら悪いようにも作用してしまう。

 

例えば「夢に向かって生きよう!」みたいな講演を聴いて「うおお!俺も頑張るぞ!!今日から毎日2時間勉強して1ヶ月後にはこうなって1年後には夢を叶えるぜ!!!」と興奮して計画表を書いたのに、翌朝起きたら「あれ?昨日のやる気どこ行った?なんならいつもよりやる気ないぞ……」となってしまったことはないだろうか?

 

これは、「頑張って夢を叶える」ということは「変化」なので、脳が「こいつ変化しようとしてるぞ!危ない!いつもの状態に戻さないと!」と判断し恒常性を働かせてしまうからなのだ。

 

意識的には「良いこと」であっても、「変化すること」は無意識的には「悪いこと」なのである。だから人は変われないのだ。

 

ではどうすればいいかというと、大きく変化しようとするから恒常性が大きく働き一気に戻されてしまうので、小さく変化しようとすればいいのだと思う。脳に気づかれないぐらい小さな一歩を踏み出して少し休んでからまた一歩、また休んでからもう一歩という風にすれば、恒常性の影響を受けにくいはずだ。

 

 

ところで何故ぼくがこんな専門的な脳科学の知識を持っているかというと、高校生の頃に読んだこの本に全部書いてあったからである。

 

https://www.amazon.co.jp/dp/B00GMATYVS/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_lnrUFbZXBYQHB

 

この本には「セルフイメージ」「スコトーマ」という、やる気を出すのに欠かせない2つの概念についても詳しく分かりやすく書かれており大変オススメである。人生で役に立った本ベスト3に入るかもしれないぐらい素晴らしい本だ。

 

ちなみにこの本では恒常性によってやる気を失わないために「恒常性がバグって機能しなくなるくらいのでかい夢を持つ」という方法が推奨されている。「小さく変化する」というのはぼく独自の考えなのでそこはご理解いただきたい。

 

 

さて、そういうわけで高校生の時から恒常性という人間の性質を知っていたぼくは、相談者にはなるべく小さくて簡単な第一歩を伝えるようにしているし、ぼく自身も小さな第一歩を踏むようにしている。

例えばこのわからないと思うための対話の感想記事を書くのも毎回ものすごく億劫なので、「まずは10分だけ文字起こしする」というのを第一歩に設定している。それさえやればあとは割と気楽に取りかかれる。

小説執筆も同様だった。最初はいきなり冒頭のシーンを丁寧に書こうとしてしまったのだが、書き始めてすぐめちゃくちゃ難しいことに気がついた。よく考えたら冒頭のシーンは登場人物の特徴やら時期やらを説明しなければならなく難しい上に日常シーンだからつまらないという、最も書くのが大変な部分だったのだ。
だから「1番書きたいクライマックスシーンのセリフのみを雑に書く」というのを第一歩にしてみたら驚くほどすんなりノリノリで書けた。あれは我ながら良い方法だったと思う。

 

  

ちなみにぼくは自分を律してやらなければいけないこと以外でも最初の一歩目は小さくしたいと考えていて、例えばバイトなんかも初日は「行って帰ってくるだけで100点だから頑張らないようにしよう」と思っている。なのに初日からフルスロットルで研修とかをされると「初日なんだからもっとゆるくしてよ!2日目は頑張るから!」と思ってしまう。

まぁバイトとしては良くないことなんだろうけど、最初からフルスロットルというのは単に気が重いだけでなく精神的に悪いのだ。

 

引越しや転職など、人は新たな環境に行くだけで無意識のストレスをかなり感じる生き物なのだ。何十年も一人暮らしをしていた千原ジュニアは大好きな女性と結婚し同棲したあとしばらく無意識のストレスで体調をめちゃくちゃ崩したり片耳が聴こえなくなっていたらしい。

 

何かに挑戦するときも必ず無意識のストレスを大きく感じているので、最初は出来るだけ頑張らないことが肝心だと思う。

 

 

 

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行動を実際にいざ起こせたとしても、割とみんなすぐにモチベーションが下がって辞めてしまうということが多いんだよね。途中で挫折してしまうということがよくある。

じゃあなんでそういうことが起こるのかっていうと、周りにモチベーションを高めてくれてる人っていうのがなかなかいないからなんですよ。

そうすると自分で自分のモチベーションを高めないといけないから、話を聞いてる間に相手の中に自分で自分のモチベーションを高めるようなシステムを組み込んでおきたいわけ。

じゃあどうするかっていうことなんだけど、「上手くいってるぞ!」って思ってる時は割と人ってモチベーションが上がるんだよね。

「上手くいかない、全然ダメだ、効果がない」って思うとモチベーションが下がっていっちゃう。だから一つ目の質問をします。

 

この「小さい」っていうのがポイントです。大きい変化だったら誰でも分かるんだけど、大きい変化はなかなか起きないからモチベーションが下がっちゃう。

じゃあどうすればいいかというと、実際に起こる可能性が十分にあるような小さな変化を拾い上げて、「小さい変化だけど前に進んでるな」「ちゃんと効果が出てるな」という風に認識できると、ちょっと気持ちが上がって「よし、じゃあもうちょっと続けようかな」という気持ちになれる。だからなるべく小さく小さくさせたいんだよ、ここは。

 

このサインはなるべくたくさん持っておいた方が自分でモチベーションを上げるチャンスが広がるのでなるべくたくさん出したいし、大きすぎる変化のサインは大体みんな出すので、「もっと小さいサインはない?」と煽ってもっともっと小さくさせていく。

そうやって小さくしておくと、「じゃあこれも確かに前に進んでるって事になるな」っていう風に、実際にそれが自分の身に起きた時にそこでのやり取りが頭の中にどっか残ってるので、ちょっと前に進んでるなと思えるようになる。こんな風にして相手のモチベーションをサポートするということです。

 

 

 

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ワークは上記の通りです。

 

 

「第一歩目は小さくする」ということは分かっていたけど、「小さな変化のサインを聞く」というのは全く発想になかった。確かにサインというものを決めておけば自分でモチベーションを上げてもらいやすくなるなと勉強になった。

ただ、「周りにモチベーションを高めてくれてる人っていうのがなかなかいない」「そうすると自分で自分のモチベーションを高めないといけない」というのはやっぱりキツいよなぁと思う。

 

「聞く技術」としては「小さな変化のサインを聞く」以上のものはないと思うのだが、「悩みを解決させる方法」としてはこれは相当弱い。

何故ならどれだけ自分で自分のモチベーションを高めやすくしたところで、ほとんどの人は1人では変われないからだ。

 

『夢をかなえるゾウ』の主人公の男性が変われたのは、ガネーシャが主人公の家に住み込み毎日課題を出してそれを強制的に行わせ、感想を聞いた上でフィードバックをするということを繰り返したからである。

 

ガネーシャのような存在がいないぼくたち一般の人間は、夢をかなえるゾウを読んだところで変われない。だから自己啓発書は多くの人にとってそれ単体では無力だとぼくは思っている。

 

相談業は自己啓発書よりかは強い。めんたねさんもおっしゃっているように「これをやります」と人に約束することができるからだ。長期的に根気よく相談し続ければモチベーションの維持はできるだろう。

 

だが、それもやはり弱いと思う。何故なら関わる時間が少なすぎるからだ。

ぼくの所属していた演劇部ではぼくを含めた何人もの人が劇的に成長したが、それは超強力な顧問の先生が何千時間という膨大な時間をかけて指導してくれたからである。あの顧問の先生でも例えば月1回1時間のカウンセリングでは人を変えることはなかなか難しかったのではないかと思う。

 

だからぼくは、レンタル話し相手をやってはいるが、この活動で人を根本的に変えられるとは実は思っていないのだ。

 

学校を創って先生として長期的に膨大な時間をかけなければ、人を変えることはまずできない。だからぼくは依頼を受けながらも、結構な無力感を感じている。