「わからない」と思うための対話 第4回 感想

 

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今回のテーマはこれ!

 

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否定形で望みを語るとマイナスの方向に引っ張られる

 

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無意識には、肯定形と否定形の区別ができないっていうところがあるんです。

「緑色のサンタクロースを想像しないでください」って言われても、人は緑色のサンタクロースを想像してしまうんですよね。

この「想像しないで」という言葉の「しない」っていう否定の部分はあまり関係しないんです、無意識には。「緑色のサンタクロース」っていう単語が出た瞬間に頭の中には思い浮かんでしまう。


初めて聞く話だった。そんなバカなと思いたいけど、無意識の力というのは侮れない。

意識と無意識のバランスを表現するのに、この氷山の絵がよく使われる。

 

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(イラストACからのダウンロード)

 

ぼくたちは普段海上(意識)の部分しか見えておらずそれが全てだと思っているが、実は海中には海上よりも遥かに大きい無意識が存在しているのだ。

 

どれだけ意志を強く持ったところでこの無意識には絶対に勝てないので、無意識がどう感じるのかということを学習し自覚しておくことがすごく大事らしい。

 

だから、「そんなバカな。意識的には肯定形と否定形を区別できてるから大丈夫だよ」と簡単に考えたらいけないのだ。

 

 

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ビルの間に掛けた、幅1メートル、長さ30メートルの板の上を歩くのを想像してください。風が吹いてなくても、結構な確率で落ちる人が出るんですよね、たぶん。

 

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なんでかって言うと、やっぱりこういうところに立ったら、落ちることを考えちゃうんだよね。

 

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落ちることを考えて頭の中でそのイメージができると、体がそっちに引っ張られていっちゃうんですよ。

 

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人間というのは、無意識でイメージしたものにどうしても寄って行ってしまうところがあります。

反面教師ってあるでしょ。「絶対にこういう風にならないにしよう」っていうやつ。反面教師ってけっこう危ないんだよね。「ならないようにしようならないようにしよう」って思うんだけど、イメージしてしまうのは「なってはいけない」っていう姿をイメージしているから、気が付くとそっちに寄って行ってしまうっていうのは十分にある。

 

なるほど……。

毒親に育てられた人は大人になった時自分自身も毒親になってしまいがちになる」っていう話を聞いたことがあるけど、それもこういうことなんだろうか。

 ぼくは「こういう風になりたい!」って思える人たち(親以外にも先生など)に育ててもらったから、すごく幸運だった。

 

 

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だから、望みは否定形ではなくなるべく肯定形で語ってもらった方がいいんです。

否定の形の望みっていうのは、たぶん悩みに not をつけて否定しただけで、あんまり望みになっていないんですよね。悩みが深い人ほど否定のついた形で望みが語られやすい。

 

なるほど! つまり「落ちないようにしよう」とかではなく、こういう風に言った方がいいのか!

 

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(すみません、カイジで遊びすぎました。

上記4枚の漫画は全部『賭博黙示録カイジ』7巻からの引用です。

賭博黙示録 カイジ 7 | 福本 伸行 | マンガ | Kindleストア | Amazon

 

 

 

 

本人の口から語ってもらうためにあの手この手を使う

 

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この「肯定形の望み」っていうのは、なるべくなら本人の口から語ってもらいたいんだよね。

「こういうことなの?」て聞いてみてあげるっていうのは優しいアプローチなんだけど、できればそれは最後にとっておいてもらいたいんです。

なんでかって言うと、人間って「自分で答えなければならない」って思うと、話すために考えるんですよ。

自分の頭の中でその イメージを具体的に作ってもらった時に、そっちに向かって人は動いていくわけだから、肯定的な望みのイメージを相手が自分自身で考えて頭の中で思い浮かべるように話をしたい。

 

本人の口から語ってもらった方がいい理由の2つ目は、こっちが「こういうこと?」って聞くと、それに対して「人に押し付けられたもの」って感じて、どこか「自分の問題じゃない」とか「半分否定する」みたいなことをしてしまうっていうのもあります。

でも自分自身で考えたものっていうのは、人から押し付けられたものじゃないから否定ができない。

だから、質問ワークで質問っていう形にどうして極力こだわるのかって言うと、こっちから提案やアドバイスをするよりも質問した相手が答えを出してくれた方が自分自身で思いついたいいアイディアとして大事に取っておいてもらえるからです。そうすると影響力が大きくなります。

こっちが言わなきゃいけないのは、最後の手段です。

 

「話すために考える」というのはすごくよく分かる。

自分の中ではしっかり考えられてると思っていることでも質問されて答えようとすると全然上手く言えないことがあって、それでも話すために頑張って言葉にしていくと、「ああ、自分は本当はこう考えていたのか!」と気づくことができるのだ。

 

「他人に出してもらった答えは押し付けられたように感じてしまう」というのもよく分かる。

望みとは違うけど、他人から教えられた「バズる方法」はものすごく取り入れがたい。自分で考え出したアイディアじゃないからそんなに良さそうに思えないし、そのまま取り入れたらなんか負けのような気がしてしまう(そんな姿勢は良くないとは思っている)。

 

 

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ここですごい固まっちゃう人っていうのは、悩みのイメージは強く持ってるけど望みのイメージが持ててない、悩みが深い状態なんだなっていうのが、話を聞いてて分かるわけです。

 

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相手の口から望みがあまりにも出てこなかったら、ちょっと助け舟というかヒントを出すんだけど、そっくりそのまま相手が言いそうなことを言ってバチっと当たってしまうと、せっかくの望みのイメージなのに人から言われたものになっちゃうじゃん。これが嫌なんだよね。できたらその人の望みはその人に語って欲しい。

そこで、わざと微妙なトーンでその人の望みとちょっとズレてそうなことを混ぜてみたりとか、極端に全然違ってそうなことを言ったりとか、「わざと間違える」っていう技を使ったりします。

 

悩みが深い人も自分の望みと違うことを言われると、「それじゃない!」っていうことは感じるんだよ。

「これじゃない!」って言ってくれたら、「あぁ、違うんだ。じゃあどんなのなの?」って目の前の違うものの違和感がどこにあるのかを聞き出して、「これはこうなんだ」っていう風に初めて肯定的な形で言いやすくなったりするっていうのがあります。

 

もちろん、「この人分かってないじゃん」って思われるリスクもあります。だから間違え方の度合いを上手く調整して、微妙なズレで収めておくんです。

 

あと、それまでの実績も重要です。

それまでに「この人はずいぶん自分の話をよく分かって聞いてくれてるな」という実績があった上でちょっとズレた時には、相手の方も「これは自分の説明の仕方がよくないのかな、難しいのかな」と思ったりして、必ずしもこちらとの関係を否定しにかかるとは限らないですから。今までの関係が重要なんです。

 

後は物言いなんだよね。

つまり間違えたい時には、「よく分かんない」っていう顔をしながら聞くと言いわけ。

「え。これってこういうことなの?」っていう風に聞くと、「不安で分からないです。本当にこれでいいの?」っていう雰囲気で聞いてるから、「いやいや、そうじゃないんだ」って言われた時に「あーそうだよね!」っていう顔をしておけば、そんなに大外しした感じにはならないよね。

 

これはマクドナルド理論と同じ話なんだろうか?

みんなが「どこでもいいよ」と行ってどこに食べに行くか決まらない時、「じゃあマクドナルドは?」とあえてあり得にくい選択肢を出すことで「いやマクドナルドはいやだ!ラーメンがいい」という風に本当に行きたいところを聞き出すという、あれだ。

 

確かに「こうしたい!」っていうのはなかなか言いにくいけど、「こうはしたくない!」「そうじゃない!」というのは言いやすい気がする。

 

自分の望みと80%ぐらい近いことを言われたら「ちょっと違うけどまぁいいか……」と思って何も言わずに「そうです」って言ってしまいそうだし、あえて40%とか外れたことを言って「いやそうじゃないんです」と90~100%の答えを引き出すというのは確かに上手い手なのかもしれない。

 

ただこれはやっぱり相当難しそうだ。

関係性を構築した上で表情にも気をつけなければならないなんてハードすぎる。失敗が許されるワーク以外では当面はやらないようにしよう。

 

 

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「あなたはこういうことを望んでるの?」という物言いではなくて、この資料のように聞くというやり方があります。

 

この聞き方では、AやBやCの部分がさりげなくアドバイスや提案に実はなってるんですよ。

でも「押し付けられた」って気はあんまりしないんだよね。ただの「こういう人がいるよね」っていう具体例だから。

そうすることで提案やアドバイスをしても反発されにくいし、場合によっては自分で考えたことになる。なぜなら自分で選んでるから。

「選ぶ」っていうステップが入っただけでも、だいぶ自分の判断になってるわけです。

「いかに自分で選び取って考えたと思ってもらうか」っていう演出の技術 っていうのは結構大事です。

 

なんか詐欺師のテクニックみたいだ……。

実際、悪い人もこのテクニックはかなり使ってるんだろうな。こんな風に。

 

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ダメだ、どうしてもカイジが出てきてしまう……!

この3枚は『賭博黙示録カイジ』10巻からの引用です。

賭博黙示録 カイジ 10 | 福本 伸行 | マンガ | Kindleストア | Amazon

 

 

 

 

 

言葉の定義は人によって違う

 

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この「木」っていう言葉には、実際に指し示す「その辺に生えてる木」っていうのがあるじゃないですか。

「実物があって」、「この言葉がその実物を指し示す」というのがワンセットになって記号として成立している。

 

聞いたことない話だけど、言われてみれば確かにそうだな。

 

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ぼくの箱の中身は一般的な人の箱とだいぶ違うらしい。

言葉は正しく使おうといつも気をつけてるんだけどな……。

 

 

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相手が使っている言葉、ラベルの貼ってある箱の内容がなんなのかということをちゃんと把握しながら共有して会話をするということです。

 

人と会話してて、「この人はこの言葉のをぼくがイメージしてるものとは違う意味で使ってるんじゃないか……?」って思ったことがあんまりないんだよな……。だからこのテーマはあんまりピンとこない……(今のところなかなか重要だと思えない)。

 

……と思ったけど、あった!フェミニストの人との会話だ!

以前あるツイートをしたら「それはセカンドレイプですよ」ってフェミニストの人からリプライされたんだけど、セカンドレイプという単語を検索してみたらぼくの言動はその定義に当てはまっていないようだったから「セカンドレイプの意味を勘違いされていませんか? なんでぼくの言動を問題だと思ったのでしょう?」って聞いたら、「『なんで人を殺しちゃダメなんですか?』みたいな質問しないでください!セカンドレイプをしちゃいけないなんて当たり前じゃないですか!シーライオニングお断り!」って言って逃げられたんだ。

今思い出してもムカつく。人を批判する時は言葉の意味ぐらいちゃんと理解してから正しく批判してほしい。

 

 

 

話し手の言葉の定義を知る方法

 

資料を見ればほぼ分かるので説明は省略!

 

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おやつであるものとおやつでないものの間に引かれた境界線の形、これが「おやつ」ってことだよねと、そんな風な考え方をするわけ。

 

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時間がなかったりする時はいきなり「その言葉の定義は?」って聞くのもアリだけど、基本的にはこの資料に書いてあるような聞き方をした方がいいらしい。

確かにそうした方が境界線がよりくっきり見えるけど、正直、ワーク以外でこういう聞き方をして嫌がらずに素直に答えてもらえるイメージが浮かばないかも……。

ワークででさえ、「頭のいい人って具体的には誰?他には?」って聞かれたのけっこう負担だったからな……。

 

 

 

 

 

ワークの感想と反省

 

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・ぼくは言葉の定義にけっこう厳しい人だと思ってたけど、質問されまくってみるとどれだけいい加減な定義で言葉を使っていたかが分かった。

 

確かに「頭がいい」にもいろんな種類があるし、「ピンとこなかった」は普段は「よく分からなかった」って意味で使うけど、あの時は「重要だと思えなかった」という意味で使っていた。

 

言葉の定義を聞かずにこのズレを放置しておくと、めんたねさんはもしかしたら「俺の授業よく分かんなかったか……」と落ち込んでいたかもしれない。

 

というか、こういうことは確かに思い返せばけっこうある気がする。

姉と母がケンカしてぼくが間に入った時も、母が使った言葉を姉が変に悪い意味に捉えたせいでめちゃくちゃ傷ついていて、「お母さんはこういう意味で言ったらしいよ」って伝えたら急に機嫌が良くなったということがあった。

 

定義のズレなんていうつまらないことで不幸が起きるのはもったいない。ちょっとでも違和感を感じたらすぐに聞いた方がいいと思った。




・ケンタさんの話を聞く時に悩みを掘り下げなかった。

 

はじめにこういうやりとりがあった。

 

ケ「仕事に関して、なんかこのままじゃいけないなっていうのをなんかもやっとしています」 

 

レ「そうなんですね。具体的に1つエピソードを教えて欲しいです」

 

ケ「うーんと、具体的に言うと……そうですね。多分、整骨院一本でやっていくのがちょっと違う気がする。なんか仕事の幅を広げたいというか」

 

レ「これってどうエピソードにすればいいんだ……?

まぁ、じゃあ、えっと、仕事の幅を広げたいと言うのが悩みなんですね。じゃあどうなったらいいなって思いますか? 今の状態がどうなったらいいなって言う風に思いますかね?」

 

 

「仕事の幅を広げたいというのが悩みなんですね」と言っているが、「仕事の幅を広げたい」というのは望みである。間違えた……!

後でめんたねさんがやってみせてくださったように悩みをもっとちゃんと掘り下げていれば、望みをもっとスルスルと引き出せたかもしれない。

 

 

 

・ケンタさんの「コレジャナイ」顔に気がつかなかった

 

ワークの最中はケンタさんの表情の異変に全然気がつかず「よし!望みを引き出せたぞ!」と思っていたが、後から見返してみたら最後のケンタさんの顔はどーーー見ても「コレジャナイんだよなぁ……」と言っている。なんでこんなに分かりやすい表情をしているのに気がつかなかったんだ!アホか!

 

「時間内に終わらせなきゃ!」と焦っていたとは言えこれはひどい。カウンセラーに相談してこういう風にされたら「あ、この人無能だな」と思って心を閉ざしてしまうだろう。本当に良くない。

 

 

望みエピソードを聞く時に「YouTubeやりたいんでしょ」みたいに誘導してしまったこともそうだけど、すごく焦ってしまう。

 

めんたねさんは

 

「久保くんが焦る必要はないんだよ。けんたくんの問題だから。『俺の問題じゃないし』って切っておく」

 

とおっしゃってたけど、ぼくはそうやって「切る」ことがだいぶ苦手なんだと思う。相手と一緒に悩み苦しむということを第一に考えてきたから、めんたねさんに教えられている間は切り離そうと頭では思っていてもなかなかできない。

 

でもコレジャナイ顔(or声)に気がつかないとか誘導するとか、時間制限がない時はやってる記憶がないんだけどなぁ……。気がついてないだけでやってるのかな……分からない……。

 

 

・相手に興味を持つ技術を身に付けたい。

 

最後の北村さんの質問とめんたねさんの答えが興味深かった。

 

北村「いかに相手の話に興味を持つかと言うのが最大の課題なんだなと思いました。一番大事な主軸の部分は、いかに相手の話を興味をキープしながら聴き続けられるかってところに尽きるなとすごく思いました」

 

めんたね「興味が切れたらアウトなんだよね。興味を持つのも技術だと思ってるから、ぼくは。

今やってる聞き方っていうのも興味を持つための1つの工夫だよね。

「悩みと望みを知ろうとする」っていうお題、テーマを作るだけでちょっと興味を持ちやすくなるでしょ?

「相手の言葉がちゃんと自分のイメージしてるものと一致してるのかな?」って気になれば少し興味を持ちやすくなるでしょ?

だから興味を持ちやすくなるためのポイントをなるべく伝えてるって感じ」


「興味を持つのも技術」というのは名言だなと思った。興味なんて知識と人間性だけだと思ってたけど、技術も関係してくるとは!!


ぼくはお気に入りのバーでよく孤独になる。自分が全然知らない話をみんながしていると全く興味がなくなって輪に入れなくなるからだ。1時間黙って過ごしてみてもやっぱり輪に入れなさそうだと思って帰るなんてことがザラにある。

 

どうやっても興味を持てないんだから仕方ないかと諦めてたけど、技術の問題であれば諦めなくて済むかもしれない。色んな技術を身に付けて、興味を持てる幅を増やしていきたい。